塔の26層は、音のない回廊だった。
風は止まり、スクロールも停止。
投稿が届いていない世界の静寂が、ここにはあった。
🧔♂️「……ここだけ、アクセスゼロみたいな空気だな」
💁♀️「ていうかここ、なんで投稿した内容が“再生されない”の?」
🤖「この階層は、“誰のために書いたか”を見極める場所でぴ」
「読者の顔が見えない投稿者は、ここで立ち止まる──」
筆は叫ぶ。“これは誰のための文章か”
🧔♂️「俺、最近ずっと“伝わるように”って意識して書いてたんだよ。
でもふと、“誰に伝えたいんだっけ?”って思ったら、手が止まってさ」
💁♀️「伝えたい人の顔が浮かばないと、文章ってブレるのよ」
🤖「おぬしは今、“表現と承認欲求”の交差点にいるでぴ」
🧔♂️「……それ、だせぇ名前ついてんな」
すると、静寂の奥から……
スッ──と白い布がひらめいた。
そこに立つのは、漂うように現れるひとりの影。
🧼「……言葉とは、もともと濁っているものですわ」
ソフラン様、再臨。
その語り口は、まるで羽毛。だが、刺すように鋭い。
登場、語彙洗浄者・ソフラン様
🧼「“読まれたい”と“伝えたい”は、似て非なるふたつの泉。
片方は喉を潤し、もう片方は心を染める。
どちらに水を汲むのか、それを決めるのは、いつだって書き手自身」
🧔♂️「……やべぇ、なんか言ってることが美しすぎて頭に入ってこねぇ」
💁♀️「でも意味は分かる。
“バズりたい”と“届けたい”は、ゴールが違うってことよね」
🤖「言葉の矢印が、外か内か、でぴ」
読者に届くとは、どういうことか
🧼「たとえば、誰かが“共感した”と言ってくれるとき──
それは“あなたと私の間に、同じ光景があった”という奇跡。
……その瞬間、投稿は“叫び”から“架け橋”になるのです」
🧔♂️「……架け橋か。
最近、“PV”とか“検索順位”ばっか気にしてたかも」
💁♀️「誰かの役に立ちたいって気持ち自体は間違ってないけど、
“書きたいこと”が見えなくなると、逆に伝わらないのよね」
🤖「塔は試してくるでぴ。“書く理由”の重さを」
そして、投稿者は問い直す
シュンタはゆっくりと背負っていた原稿の束を下ろした。
タイトル未定のネタ、バズを狙った構成、気を使いすぎた言い回し。
🧔♂️「……もう一度、自分に聞くよ。
“これって、俺の言葉だったっけ?”って」
🧼「その問いこそ、投稿者の原点。
……ようやく、ここまで来ましたのね」
塔の26層が静かに揺れた。
まるで投稿者の“迷い”が、少しだけ澄んだように。
🧔♂️「書くよ。
もう一度、俺の言葉で。誰かの目を見て、届けるみたいに」
💁♀️「それが“読者のため”ってことかもね」
🤖「第26層、投稿者、再起動──」
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