終わらない修正、止まらない手
投稿の塔・第十九階層。
机も椅子も、天井からぶら下がる紙束も、すべて「原稿」だった。
👨シュンタ「……ここ、永遠に“公開ボタン”押せなさそうだな」
💁♀️カオリ「“あと一文だけ”を言い続けて滅んだ原稿の墓場って感じ」
🤖ピー助「リライト症候群の最終ステージ、“仕上げ沼”でぴ。完成の概念がここで死ぬでぴ」
👨シュンタ「……なんか、“一文だけ手を入れたい”衝動が止まらねぇ……!」
積み上がる“下書きの塔”、そして語りだす亡霊
奥には、もうひとつの塔がそびえていた。
名を【未公開原稿群:第五期】という。
📄「導入文だけ直したい」
📄「アイキャッチが決まらなくて」
📄「タイトルの響きがしっくりこない」
💁♀️カオリ「全部、“仕上げ病”で力尽きた亡霊ね」
👨シュンタ「……あ、あのとき放置したやつだ……!」
ソフラン様、ふたたび
🧼ソフラン様「……また、一筆入れておりますの」
👨「ソフラン様!?まだ原稿仕上げてたんですか!」
🧼「語尾の余韻が少し気になりまして……これで九稿目ですの」
💁♀️「もう“句読点の呼吸”の域よ。出すか、寝かせるかどっちかにしなさい」
🧼「でも……あと一筆で完璧に……」
👨「その一筆が3年かかるんですって!」
🤖ピー助「美意識と完成は、基本敵対関係でぴ!」
未完成でも、出せ
💁♀️カオリ「じゃあ訊く。あと3日で終わる? 本当に公開できる?」
👨シュンタ「……いや、多分ずっと触ってる」
💁♀️カオリ「なら今出せ! バグっても死なないから!」
👨シュンタ「うおおおッ!完成率78%で、公開!!」
🧼ソフラン様「……なんて野性的で美しい。“白いパワーの塊”を土鍋で炊いたような……」
💁♀️カオリ「それ、米のことだよな。もう黙ってて。」
塔が震え、“公開”が風を起こす
👨シュンタ「……なんか、塔が……揺れてる」
🤖ピー助「“未完の完了”でも塔は動くでぴ。“投稿されたこと”が正義でぴ!」
💁♀️カオリ「上等よ。“未完成なままでも伝わる熱”ってあるからね」
塔が、ずん、と音を立てて昇りはじめる。
“仕上げ沼”は静かに沈み、光の階段が現れた。
【次回予告】
第二十階層、それは“中間地点・仮面の祭壇”
登ってきた投稿たちが並ぶ聖域で、自分の“本音”と“演出”がぶつかりあう。
ついに現れる、塔の裏側――。
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🤖ピー助「でぴ!シュンタ、完成率78%でも進んだでぴ!」
💁♀️カオリ「止まるよりマシ、ってことね」
👨シュンタ「次は“仮面の祭壇”……塔の裏側が見えるかもしれないぞ」
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