塔の空気は、止まっていた。
投稿の塔、第十三階層。
そこは異様な静けさに包まれていた。
👨シュンタ「……音がしない。風も、声も、何もない」
🤖ピー助「ここは“閲覧ゼロの荒野”でぴ。投稿はされど、誰にも届かぬ階層でぴ……」
👩カオリ「ひとの声が消えた世界って、こんなに重苦しいんだね」
塔の壁には、数字が刻まれていた。
「PV:0」
「クリック:0」
「反応:0」
……そして、塔からの無慈悲な追い打ち。
「今日も、ゼロだったな」
👨シュンタ「うっ……やめてくれ、塔のくせに刺してくるな……」
現れたのは、あの優雅なる亡霊
カツ――カツ――
石畳に響く、かすかなヒール音。
👩カオリ「誰かいる?」
そこに立っていたのは、ふわりと香る柔らかい白衣のようなドレス。
🧼ソフラン様「嗚呼……また“届かぬ投稿”が、ひとつ、風化してゆきますわね……」
👨シュンタ「ソフラン様!?」
🤖ピー助「生きてたでぴ!?じゃなかった、塔に居続けてたでぴ!?」
🧼ソフラン様「生きてはいますの。けれど、もう“投稿者”としての生は……遠のいてしまって……」
👩カオリ「いや、ポエム調で出てきてるけど、生き返る気はあるんでしょ?」
🧼ソフラン様「“投稿とは、声なき者が空へ放つ祈り”。けれど、誰にも見つけられぬまま風に舞い、跡形もなく消えゆく──それは、あまりにも儚い悲劇……」
👨シュンタ「語彙がキラキラしてるのに、内容はめちゃくちゃ虚無……!」
塔の試練:“それでも書くか?”
塔の天井から、声が響いた。
「誰にも読まれぬ投稿に、意味はあるか?」
👨シュンタ「……ぐっ……」
ピー助のスクリーンにも、数字が並ぶ。
【直近投稿の読了率:13%】
【いいね:なし】
【滞在時間:6秒】
🤖ピー助「もはやスクロールすらされてないでぴ……」
👩カオリ「つまり、“読まれていない”じゃなく、“見られてもいない”ってやつね」
👨シュンタ「こんな世界、ある意味、一番ツラい……」
🧼ソフラン様「“数字という名の審判”に怯え、表現は痩せ細っていくのです……。けれど――」
ソフラン様は、ゆっくりと塔の端に手をかざした。
🧼ソフラン様「それでも、私は書きます。“読み手の存在を仮定し続けること”こそが、表現の火種ですから……」
ひとつでも、届けばいい。
👨シュンタ「……そうだよな。“読まれないかも”って怖がって書かないのは、本末転倒だ」
👩カオリ「そ。誰かに届く保証がなくても、自分の“届けたい”を止めたら、終わりよ」
🤖ピー助「読まれなかった投稿はゼロでぴ。でも、読まれなかったからって、無価値じゃないでぴ」
👨シュンタ「この1本が、誰かひとりにでも届けばいい。俺は、そういう記事を書きたいんだ!」
その瞬間、塔が――震えた。
天井に亀裂が入り、微かに光が差し込む。
塔、再び動く
ゴゴゴゴゴ……
塔が動き始める。
🧼ソフラン様「嗚呼……聞こえます。言葉たちが、目を覚ます音……!」
👩カオリ「……まったく。あんたの言葉、いちいち詩的すぎるのよ。でも、悪くない」
👨シュンタ「行こう。次の階層へ!」
🤖ピー助「数字じゃなく、気持ちで登るでぴ!」
塔の回廊が開き、新たな階段が現れる。
投稿の旅は、まだまだ続く。
【次回予告】
第十四階層──そこは「バズってしまった投稿」に囚われる空間!?
喜びの影に忍び寄る、“次も結果を出さねば”というプレッシャー。
シュンタたちは、“連続ヒットの呪い”に打ち勝てるのか――!
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