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🏰第十二話|塔の迷い境界、選択の儀

目次

迷い階層、深層──そこは“選べぬ者たち”の終着点

塔の空気が変わった。
ぬるく、湿った風が吹いている。

👨シュンタ「……なんか、生ぬるいな。これが“選べなかった人たち”の空気ってやつか?」

🤖ピー助「ここは“迷い階層”の最深部、別名“境界床(きょうかいしょう)”でぴ」

👩カオリ「名前だけで足元ふわつくじゃないのよ……」

塔の床はガラスのように透き通っており、下には投稿者たちの“未投稿リスト”が文字列となって渦巻いていた。


光る二つの足場──選択肢は、今か過去か

塔の中心、台座がせり上がる。
そこにはふたつの足場が、ぬぅっと現れる。

ひとつには【保存済み下書き:32件】と表示された光。
もうひとつは【投稿予定:本日分】の光。

👨シュンタ「……過去か、今か、ってことか」

🤖ピー助「これは“選択儀”でぴ。投稿の塔が登る者に最後通告を出してるでぴ」

👩カオリ「“まだどっちも捨てられてないあなた”ってことね。あーめんどくさ」

👨シュンタ「うっ……それ言われるとグサッとくる」

👩カオリ「で、どっち選ぶの?」


未投稿リストの亡霊たち

そのとき──

床下の渦が、不意に“声”を発した。

「保存版にしておいたんだ……」
「いつかリライトしようと思ってたのに……」
「タイトルは完璧だったのに……」

👨シュンタ「……まさか、これ全部、誰かの下書きか?」

🤖ピー助「選ばれなかった投稿たちの、うらめしき念でぴ……“タイトルだけ選手権”の末路でぴ」

👩カオリ「“下書きに入れておけば、書いた気になれる”ってやつね。あるあるすぎてツライ」

👨シュンタ「俺も、心当たりあるよ。『2023年まとめ記事』を2024年夏に見つけたとき、泣いたもん……」


決断、それぞれの選択

塔が唸る。
「投稿する者よ。過去を選ぶか、今を進むか、選べ。」

👨シュンタ「……俺は、今を選ぶ」

👩カオリ「潔いじゃない」

👨シュンタ「過去のネタを否定するんじゃなくて、“今の自分”が書けるものを信じたい。…それが塔を登るってことだろ?」

🤖ピー助「決めたなら、進むだけでぴ!」

カツン――

シュンタの足が、“今”の足場を踏む。

塔が――震えた。


境界、崩壊。そして、塔は再び上へ

ゴゴゴゴゴ……

下から上へと突風が吹き上がる。
床に渦巻いていた“未投稿リスト”が、風に舞って消えていく。

👩カオリ「なによこれ……なんか泣きそうになってきたじゃない」

👨シュンタ「まるで……“迷ってた投稿者”たちが、やっと浮かばれたみたいだな」

🤖ピー助「迷いの霧は晴れたでぴ。これで次の階層への扉が開くでぴ!」

塔の天井が、パキンと音を立てて割れた。

その向こうには、青く澄んだ空と、一本のはしごが――まっすぐ、登っていた。


そして、次なるステージへ

👩カオリ「次の階層……行くのね?」

👨シュンタ「ああ。今回は“書かない罪”を乗り越えた。でもきっとまた、“書けない恐怖”が来るんだろうな」

🤖ピー助「でぴっ。塔はどこまでも、投稿者を試す場所でぴ」

👩カオリ「なら、せいぜい一緒に登ってあげるわ。突っ込み係がいないと、この塔ツラいからね」

👨シュンタ「頼りにしてます、姐さん」

そして三人は、揺れの止んだ階層を後にする。
次なる試練は、すでに始まっていた。


【次回予告】

塔の第十三層、そこは“閲覧数ゼロ”が支配する沈黙の世界――
投稿しても、誰にも届かない。そんな世界で、シュンタは何を見るのか?

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