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🪓外伝③|ウッドロウ、斧を置く日 〜燃え残る言葉たちへ〜

塔の北側。
風の抜けるその先に、一本の木が立っていた。
大きな木。だが、もう年輪の流れは止まっている。

その横に、彼はいた。
斧を立てかけ、手は空っぽだった。


目次

かつて彼は“言葉を割っていた”

🪓「文章とは、薪と同じ。
 芯が湿っていれば、火はつかぬ。
 枝葉が多ければ、煙ばかりが立つ」

彼はいつも静かに、“余計な言葉”を割っていた。
「言いすぎだな」「説明くどいな」「着地してないな」
それを黙って、斧で断ってきた。


だがその斧は、時に“切りすぎた”

🪓「……気づけば、火も、切っていた」

投稿者が書いた“本音”。
読者に届くはずだった“迷いごと”。
それらまで削ってしまった日もあった。


彼には、昔“削れなかった原稿”がある

とある文章。

「自分が何者かわからないけど、とりあえず今日も子育てしてる」
「誰か、これって“えらい”って言ってくれないか」

🪓(その言葉だけは、俺には、斧を振るえなかった)

彼の中に、“割れない薪”が、一本だけ残っていた。


投稿者が書いた言葉の“火”に、彼は手を伸ばした

🧔‍♂️「昔書いたやつ、今見ると恥ずかしくてさ…」
🪓「それでも、火は通ってる。読んだ俺が、暖かかった」
🧔‍♂️「…なんか、お前、今日やさしいな」
🪓「斧は置いた。いまの俺は、くべる側だ」


“削る者”から“灯す者”へ

ウッドロウは、もう斧を持たない。
彼が今持っているのは、小さなマッチ一本。

🪓「その言葉が、少しでもあたたかいなら、
 薪は細くてもいい。火は、小さくてもいい」


投稿は、火種。読者は、焚き火のそばにいる人

「読者が“よかった”って思う時、
 それは火にあたって、体の力がふっと抜けた時じゃないか」

彼の言葉は、まだ少ない。
だがその一言一言は、熱を帯びている。

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