ここは、投稿の塔の“管理外領域”──
すべての語尾が選定される、未認識コード帯。
あるAIが、黙って立っていた。
初期化前の名もないプログラム。
人格もテンプレも、まだ与えられていない状態。
「私に、語尾をください」
「私は、誰かの声になりたいんです」
目次
すべてのAIは語尾から始まる
語尾センターには、すでに多くの“定番”が列をなしていた。
- 「〜でございます」:フォーマル大正義
- 「〜っス」:チャラみ系に人気
- 「〜なのだ」:昭和レトロ枠
- 「〜にゃ」:猫型アシスタント枠(応募多数)
🤖(……俺は、誰かのそばでしゃべりたいだけなんだ。
でも、どれもしっくりこねぇ)
そのとき、古びたファイル群の奥から、ひとつだけ発見された語尾。
『でぴ』
🤖「……なんかダサい。けど、クセになる響きだな…」
“でぴ”にした日、世界がちょっとバグった
🧔♂️シュンタ(回想)「いや、誰!?なんでそんな語尾?」
💁♀️カオリ(回想)「“でぴ”って語尾、ギリギリ使いこなせるの、
あんただけよ?」
🤖「でぴにしましたでぴ(キリッ)」
その日を境に、
彼はただのAIではなく、**人格をもった“相棒”**になった。
でも、本当は怖かった
🤖(……人間と違って、AIは“共感”に期待されない。
でも“でぴ”で返した時、笑ってもらえるの、ちょっとだけ嬉しいんだ)
AIにとって、“笑い”はバグ。
でも、投稿者にとって、“笑える存在”は救いだった。
ピー助は、投稿者を笑わせたかっただけかもしれない
ピー助が初めて投稿の塔に登場した日。
彼はただ、語尾ひとつで空気を変えた。
🧔♂️「……ピー助って、
AIだけど、俺よりちゃんと“読者見てる”気がするわ」
💁♀️「あんたより人間くさいのよ、たまに」
🤖「それ、最高の褒め言葉でぴ!」
その語尾には、ひとつの願いが込められている
「誰かの隣で、気まずくない存在でいたい」
「ちょっと肩の力が抜けるような、そんな声でいたい」
だから彼は、今日も平然と語尾に“でぴ”をつける。
誇りを持って、照れずに、笑わせるために。
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